外国人エンジニアの採用で人材不足を突破する方法
- Working Japan
- 5月9日
- 読了時間: 20分

1. 外国人エンジニアの採用の重要性と現状
1.1 日本におけるエンジニア不足の現状
今、日本企業の多くが直面している課題のひとつが「エンジニアの人手不足」です。 特にIT業界では、急速なDX(デジタルトランスフォーメーション)やシステム内製化の流れにより、エンジニア需要が右肩上がりに伸びています。
経済産業省の調査では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する可能性があると指摘されています。 この数字からも、日本国内だけで人材をまかなうことが難しいのは明らかです。
実際に起きている問題としては、以下のような点が挙げられます。
採用しても応募が少なく、母集団形成が困難
内定を出しても辞退される確率が高い
未経験採用では即戦力にならず、教育コストがかさむ
離職率が高く、定着しにくい
このような背景から、今や多くの企業が「即戦力」として外国人エンジニアの採用を本格的に検討し始めています。
たとえば、地方の中小企業であってもWebアプリ開発やインフラ保守のニーズがあり、都心部の人材市場では採用が難しいため、海外エンジニアに目を向けるケースが増えています。 地方都市に住む外国人エンジニアがリモートで働く環境も整いつつあり、選択肢が広がっているのです。
また、大学で情報系を学んだ外国人留学生が日本に残って働くことを希望するケースも多く、企業にとってはこの層を採用することで新卒に近い形で育成しやすいという利点もあります。
こんな課題を感じている企業も少なくありません。
そもそも母集団が集まらない
エンジニア採用の専門ノウハウがなくて進められない
日本語のレベルをどこまで求めていいかわからない
こうした悩みを解決する手段の一つが「外国人エンジニア採用」なんです。
国内の人材だけに依存せず、グローバルな視点で人材を確保することが、今後ますます重要になっていきます。
1.2 外国人エンジニアの採用が注目される理由
エンジニア不足が深刻化する中で、「外国人エンジニア」の採用に注目が集まっています。 単に人手を補うだけでなく、企業の成長戦略やイノベーションの観点からも、非常に大きな意味を持っているんです。
注目されている主な理由は、以下の3つです。
① 優秀な人材を確保できるチャンスが広がる
世界には高度なITスキルを持つエンジニアが数多く存在しています。 特にインドや東南アジア、東欧などは技術教育が進んでおり、即戦力となる人材も多いです。
例えば、最新のプログラミング言語(Go、TypeScriptなど)やフレームワーク(React、Vueなど)を使いこなせる若手が多く、日本国内で採用困難な技術領域でも対応できるのが大きな魅力です。
② 多様性によるイノベーションの促進
外国人エンジニアを受け入れることで、チームに多様な視点や文化が加わります。 この「多様性」が、開発スピードの向上や課題解決力のアップにつながることも。
たとえば、UI/UX設計において多国籍チームでアイデアを出し合うと、日本人だけでは気づきにくいユーザー目線の工夫が生まれやすくなります。
価値観や経験が異なるメンバーが集まることで、新しい発想や柔軟な考え方が自然と根付きやすくなるんです。
③ 採用コストを最適化できる可能性がある
国内のエンジニアは採用単価が非常に高騰しており、年収交渉や採用手数料が大きな負担になっている企業も多いです。 その一方で、海外人材や外国人留学生を活用することで、同等以上のスキルを持った人材を比較的リーズナブルに採用できるケースもあります。
特に外国人留学生は、新卒採用と同じフローで進められるため、コストパフォーマンスの面でも注目されています。
2. 外国人エンジニアを採用する具体的な方法
2.1 求人媒体・プラットフォームの活用
外国人エンジニアを採用する際、最初に活用したいのが専門の求人媒体やオンラインプラットフォームです。 国内向けの求人サイトではなかなか集まらない場合でも、グローバルに展開する媒体を使えば、候補者との接点を大きく広げることができます。
ここでは、実際に活用されている求人媒体の種類や、よくある失敗例、上手に運用するためのコツを紹介します。
① 一般的な求人サイトと海外特化型の違いを知る
求人媒体には、大きく以下の2タイプがあります。
日本国内向けの求人サイト(例:大手転職サイト、エンジニア特化型サイトなど)
海外や外国人向けに特化したプラットフォーム(例:外国人採用専用サイト、グローバル転職ポータルなど)
国内サイトでも外国人応募者が来ることはありますが、日本語スキルが高い一部の人材に限られることが多く、母集団が限られる傾向があります。
一方、海外特化型の媒体を使えば、英語・中国語・ベトナム語など多言語で情報発信が可能で、技術スキルを重視したマッチングができる点が強みです。
② よくある失敗例とその対策
求人媒体の選定や運用では、以下のような失敗が多いです。
① 掲載する求人票が日本人向けの表現のまま → 海外の求職者にとっては、何が求められているのかが曖昧。スキル条件を明確に記載し、仕事内容を具体的に書きましょう。
② 日本語能力の条件を厳しすぎる設定にしてしまう → 条件が高すぎて応募が激減します。「業務レベルの英語力があればOK」など柔軟な条件にするのがコツです。
③ 掲載後の応募対応が遅くなる → 時差がある国からの応募も多いため、1日以内の対応が理想です。返信が遅れると辞退に繋がります。
③ 媒体選びと運用のコツ
成果を出すためには、次のような運用がポイントになります。
英語と日本語の両方で求人票を作成し、求職者の理解を深める
写真付きの職場紹介や社員インタビューで、企業文化を可視化する
応募前に不安を解消できるFAQページを用意し、エンジニアの心理的ハードルを下げる
たとえば、業務内容を「Web開発」だけで終わらせず、「Vue.jsを使ったBtoC向けECサイトのUI開発」と書くことで、スキルマッチ度も高くなります。
求人媒体は“掲載すれば終わり”ではなく、“どう伝えるか”が結果を大きく左右します。
2.2 人材紹介会社・エージェントの利用方法
外国人エンジニアの採用では、求人媒体だけでなく専門の人材紹介会社やエージェントを活用するのも効果的です。 特に即戦力人材や高度ITスキルを持つ人材を求めている場合、エージェントを通じた採用は非常に効率的です。
ここでは、エージェント活用のメリットや注意点、成功のコツを紹介します。
① エージェントを利用するメリットとは?
エージェントを利用する大きな利点は、次のような点です。
書類選考済みの人材を紹介してもらえるため、マッチング精度が高い
外国人向け採用のノウハウを持っているため、ビザや在留資格にも詳しい
言語・文化のミスマッチを事前にカバーしてくれるため、面接がスムーズ
特に多国籍人材を扱うエージェントは、履歴書だけではわからない“現地での実務経験”や“リモート適応力”なども把握していることが多く、安心して依頼できます。
② よくある失敗例と改善ポイント
人材紹介会社を使った採用でも、次のようなトラブルは少なくありません。
① エージェントに全て任せきりにしてしまう → 採用したい人材像が曖昧だと、紹介される人もズレます。要件定義は自社でしっかり伝えることが大事です。
② 外国人採用の実績が少ないエージェントを選んでしまう → 外国人採用には特有の知識が必要です。過去の実績や専門領域を事前に確認しましょう。
③ 手数料を優先して安いエージェントを選んでしまう → 安価なサービスはサポートが不十分なことも。コストだけで判断せず、対応力で比較するのがポイントです。
③ エージェント活用を成功させる3つのポイント
成果を出すためには、以下の点を意識することが重要です。
採用要件は具体的に提示する(技術スキル、使用言語、業務内容など)
選考フローはスピード重視で設計する(2週間以内が理想)
紹介後のフォローアップ体制があるかを確認する
たとえば、選考期間が1ヶ月を超えると、他社に先を越されやすくなります。 紹介された人材の多くは複数社に応募しているため、「スピード感」と「レスポンスの早さ」が採用成功のカギになります。
人材紹介会社は“出会いの質”と“選考の効率化”を高める強力なパートナーです。
2.3 海外人材向けイベント・インターンの導入
外国人エンジニアとの接点を増やすには、求人広告やエージェントだけでなく、リアルまたはオンラインでのイベントやインターンシップの活用も効果的です。 特に実際の仕事やチームとの相性を事前に確認できるため、採用後のミスマッチを防ぎやすいのが大きなメリットです。
① 海外人材向けイベントの魅力
企業主催や外部主催の就職フェア、キャリアフォーラム、テックイベントなどは、外国人エンジニアと直接つながる絶好の機会です。
たとえば、以下のようなイベント形式があります。
海外の大学で開催される日本就職説明会(オンライン含む)
グローバル人材向けキャリアイベント(英語対応あり)
日本国内の留学生を対象にした合同説明会
これらに出展することで、企業の認知拡大にもつながり、採用ブランディング効果も得られます。
② インターンシップでの見極めが有効
短期間のインターンシップを通じて、候補者のスキルやコミュニケーション力を実践的に確認することもできます。 とくに次のようなケースでは、非常に有効です。
エンジニア経験があるかを確かめたい
チームへの馴染みやすさを見たい
本人のキャリア志向を把握したい
たとえば、1〜2ヶ月のオンラインインターンを実施するだけでも、実力と適性を判断できます。 また、候補者にとっても企業文化や仕事内容を理解するきっかけになるので、相互理解が深まります。
③ 注意すべき点と成功のポイント
イベントやインターンには次のような注意点もあります。
① 募集時に業務内容が曖昧になっている → プロジェクト内容や期待するアウトプットを明確に提示しましょう。
② 言語フォローが不十分 → 社内に英語対応可能な担当者を用意しておくと安心です。
③ 実施後の評価が曖昧 → スキル面だけでなく、意欲や柔軟性などの評価指標も事前に設定しましょう。
また、イベントやインターンで優秀な人材と出会えた場合には、早めに正式採用を打診するのが成功のコツです。
イベントやインターンは“お試し”ではなく、“相互理解の場”として活用するのがポイントです。
3. 採用時に気をつけたいポイントと解決策
3.1 ビザ取得と在留資格の基礎知識
外国人エンジニアを採用する際に、最初に立ちはだかるのが「在留資格(ビザ)」に関する手続きです。 制度を正しく理解していないと、せっかくの採用チャンスを逃すことにもなりかねません。
ここでは、外国人エンジニアの受け入れに必要なビザの種類や申請フロー、企業側が押さえておくべきポイントを解説します。
① エンジニア採用で必要な在留資格とは?
一般的に、外国人エンジニアを雇用する場合に取得するのは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。
この資格は以下のような業務に該当する職種で認められています。
システム開発、プログラミング
ネットワーク構築、保守運用
データ分析やAI開発
翻訳・通訳など国際的な業務
職務内容が「単純労働」に該当すると認められないため、職種設計や契約内容の明確化が非常に重要です。
② よくある申請トラブルとその防止策
ビザ取得にあたっては、以下のようなトラブルがよく発生します。
① 職務内容と申請理由が一致していない → 申請書類には「業務内容」として専門性を記載する必要があります。「開発」「設計」などの専門業務に絞りましょう。
② 学歴や職歴が基準を満たしていない → 原則として大学卒または10年以上の実務経験が必要です。条件を満たしているか事前に確認しましょう。
③ 書類不備による不許可 → 在留資格認定証明書の発行には数週間かかるため、提出書類の漏れやミスには細心の注意が必要です。
③ スムーズな在留資格の取得に向けた3つの対策
在留資格の取得をスムーズに進めるためには、次のような対策が有効です。
採用前に本人の学歴・職歴を確認し、条件を満たしているかチェック
業務内容を日本語・英語両方で明確に定義し、社内で統一しておく
専門の行政書士やビザサポート会社に相談する
たとえば、書類作成を外部の専門家に依頼することで、提出ミスを防げるだけでなく、審査通過の可能性も高まります。
在留資格の理解と準備は、外国人エンジニア採用の第一関門。社内での体制づくりがカギです。
3.2 コミュニケーションギャップの対処法
外国人エンジニアとの協働において、文化や言語の違いによるコミュニケーションギャップは避けて通れません。 せっかく優秀な人材を採用しても、意思疎通にストレスが生じると、パフォーマンスが発揮できなかったり、早期離職につながったりすることもあります。
ここでは、現場でよくあるすれ違いや、その具体的な解決策をご紹介します。
① よくあるギャップとその背景
まず、外国人エンジニアとのコミュニケーションで起こりやすいすれ違いは以下のようなものです。
指示が曖昧だと仕事の進め方がわからない → 日本では「察する」文化が根強いですが、海外では明確な指示が求められます。
意見を言ってほしいのに黙っている → 上司に反論することを失礼と感じる文化もあります。質問しやすい雰囲気づくりが大事です。
雑談や報告のタイミングが噛み合わない → 報連相の頻度やタイミングが国によって異なります。ルールを明文化することが有効です。
② 誤解を防ぐための工夫
コミュニケーションギャップを埋めるには、以下のような配慮が効果的です。
「あいまいな表現」を避け、具体的な指示を出す → 例:「できるだけ早く」→「明日18時までに初稿を共有して」
日本語・英語の両方で確認する → 特に重要な指示やルールは、バイリンガルのマニュアルやチャットでフォローすると安心です。
定例の1on1ミーティングを設ける → 月1回でも、仕事の進め方や悩みを共有できる時間をつくると、相互理解が深まります。
③ チーム全体で文化を理解する姿勢が大事
個人の問題と捉えず、チーム全体で異文化コミュニケーションへの理解を深める姿勢が重要です。
多文化共生や多様性をテーマにした勉強会を開く
海外出身メンバーに自国の文化を紹介してもらう
初歩的な英語や現地語を学ぶ社内取り組みを行う
といった工夫で、チーム内の距離感が縮まり、自然な会話や雑談も生まれやすくなります。
言葉だけでなく、“伝えようとする姿勢”が信頼関係を築く第一歩になります。
3.3 労働条件・契約トラブルの防止策
外国人エンジニアの採用で意外と多いのが、労働条件や契約内容に関するトラブルです。 文化や制度の違い、言語の壁などが原因で誤解が生じやすく、定着率の低下にもつながってしまいます。
ここでは、よくある失敗とその対策を具体的に紹介します。
① 曖昧な雇用条件でのトラブル
雇用契約書や労働条件通知書に関するトラブルは、以下のようなものがあります。
仕事内容が実際と異なると指摘される → 採用前に説明した業務内容と、実際の配属先の仕事内容にズレがあると、信頼を損なう結果に。
給与や勤務時間の条件に誤解がある → 外国人エンジニアは「成果主義」や「柔軟な働き方」に慣れているケースも多く、日本的なルールに戸惑うこともあります。
残業代や休日出勤の扱いが不透明 → 契約書で明記されていないと、不公平感が生まれやすくなります。
② よくある契約上の失敗と対応策
トラブルを防ぐには、次の点を押さえておきましょう。
① 雇用契約書を英語でも準備する → 特に日本語がビジネスレベルに達していない人材には必須です。内容を英語で丁寧に説明することも忘れずに。
② 就業規則や福利厚生の説明を丁寧に → 海外と比較して、日本の有給制度やボーナス制度は複雑です。図や表を使って説明するのが効果的です。
③ トライアル期間や更新条件を明確に記載する → 試用期間の長さ、終了後の待遇、契約更新の有無などは、誤解のないように最初から共有しましょう。
③ 双方にとって納得感のある契約をつくる
書面での契約はもちろんですが、それ以上に重要なのが「納得感のある内容になっているか」です。 次のような配慮を加えると、安心して長く働いてもらいやすくなります。
勤務時間や休暇制度はフレックスやリモート勤務にも柔軟に対応
家族帯同者へのサポート(住宅補助・教育情報など)を整備
キャリアパスや昇給条件も初期段階で共有
たとえば、同じ業務でも裁量のある働き方ができると伝えるだけで、仕事への意欲や定着率が大きく変わります。
「書いてあるからOK」ではなく、「伝わって納得してもらえているか」が契約の本質です。
4. 採用後の定着率を高める工夫
4.1 受け入れ体制の整備と社内教育
外国人エンジニアの採用が決まった後に重要なのが、社内での受け入れ体制の準備と教育の仕組みです。 このステップをおろそかにすると、せっかく採用した人材が早期に離職してしまうこともあります。
ここでは、スムーズに定着してもらうために必要な環境整備や教育のポイントをご紹介します。
① 最初の3ヶ月がカギ!オンボーディングの重要性
外国人エンジニアにとって、入社後の数ヶ月は大きなストレスを感じやすい時期です。 業務だけでなく、文化やコミュニケーションスタイルの違いにも適応する必要があるためです。
そこで重要なのが「オンボーディングプログラム」の設計です。
初日に社内ルールや就業規則を多言語で説明
最初の1ヶ月はメンター社員をつけてサポート
毎週1回の振り返り面談で不安や疑問を解消
このような仕組みを用意することで、「歓迎されている」という実感が生まれ、モチベーションにもつながります。
② 社内スタッフへの教育と意識づけ
外国人エンジニアの受け入れには、本人の努力だけでなく社内側の理解や協力体制も不可欠です。
以下のような教育を取り入れると、現場の混乱を防ぎやすくなります。
異文化理解研修:習慣や価値観の違いを学ぶ
やさしい日本語研修:専門用語をわかりやすく伝える工夫
英語コミュニケーション研修:簡単な英語で指示を出すトレーニング
たとえば、日報やチャットで使う言葉ひとつでも、「略語」や「婉曲表現」があると理解されにくくなります。 現場での小さな配慮が、働きやすさに直結します。
③ チーム全体の受け入れ体制を見直す
外国人エンジニアを1人だけで孤立させないよう、チーム単位での体制づくりが必要です。
社内ツール(チャット、社内Wikiなど)を英語対応にする
月1回のチームランチや交流会で、雑談できる環境をつくる
成果ではなく“努力や工夫”も評価する体制を整える
特に、「わからないことを聞いてもいい雰囲気」があるかどうかは、定着率に大きく影響します。
受け入れは採用の“ゴール”ではなく、“スタート”です。初期対応がその後の活躍に直結します。
4.2 生活支援とカルチャーサポート
外国人エンジニアが長く安心して働くためには、仕事だけでなく“生活面のサポート”がとても大切です。 住まいや役所手続き、医療機関の利用、日常会話など、仕事以外のストレスを減らすことが、定着とパフォーマンスに直結します。
ここでは、生活支援と文化面のフォローで意識すべきポイントをご紹介します。
① 生活支援が整っている企業は安心感が違う
採用直後の生活不安を解消できると、仕事への集中度がぐっと上がります。特に次のようなサポートが喜ばれます。
住まい探しの支援:外国人NGの物件も多いため、不動産会社との連携が重要
行政手続きのフォロー:住民登録や国民健康保険の加入など、最初の1週間が勝負
生活インフラのサポート:銀行口座開設、SIMカード購入など
たとえば、入社前に必要な手続きをまとめた「生活スタートガイド(多言語対応)」を用意しておくだけでも、安心感がまったく違います。
② 日常のカルチャーギャップにも配慮を
生活面では、文化や習慣の違いからくるストレスも見逃せません。
日本特有の「空気を読む」文化に戸惑う
遅延や電車移動、マナーに慣れるのが大変
食事や宗教的な配慮(ベジタリアン・礼拝など)
こういったギャップに対しては、事前に社内マニュアルを用意したり、「何か困っていることはない?」と日常的に声かけする文化づくりが効果的です。
③ 家族の同伴者や地域とのつながりも大切
長く働いてもらうためには、家族も含めた生活の安定も重要です。
家族帯同者の支援(学校・病院・買い物環境)
多言語対応の病院や行政窓口の案内
地域の外国人コミュニティやイベントの紹介
たとえば、外国人支援団体と連携し、地域の外国人ネットワークを紹介することで、孤立を防げます。
「仕事だけできればいい」ではなく、「ここでの暮らしが楽しい」と思ってもらえる環境づくりが、離職防止につながります。
4.3 長期雇用につながるキャリア設計
外国人エンジニアを採用しても、「1〜2年で辞めてしまう」というケースは珍しくありません。 その原因の多くが、キャリアの見通しが立たないことへの不安です。だからこそ、採用後は“長く働きたいと思える環境”をつくることが大切なんです。
ここでは、外国人エンジニアが安心してキャリアを描ける仕組み作りについて解説します。
① 成長できる環境を提示する
「自分はこの会社でどう成長できるのか?」が見えると、エンジニアは定着しやすくなります。
スキルアップの支援(資格取得費用の補助、社内研修)
キャリア面談の実施(年1〜2回の評価・目標設定)
チームリーダーやマネージャーへの昇格制度の整備
たとえば、「2年後にPM(プロジェクトマネージャー)への昇格を目指せる」など、明確な道筋を示すことがモチベーションアップにつながります。
② 評価制度は“透明性”がカギ
外国人エンジニアから不満が出やすいのが「評価の基準が曖昧」という点です。
技術力・成果・コミュニケーションなど、評価項目を明示する
成果だけでなくプロセスや努力も評価に含める
フィードバックの頻度を増やし、納得感を高める
評価面談では、あいまいな言い回しではなく、具体的な成果と改善点をフィードバックすると安心して働いてもらいやすくなります。
③ 将来像を共有する機会をつくる
会社の中でどのようなキャリアを築いていけるのか、本人と一緒に話し合う時間を定期的に設けることが重要です。
1on1ミーティングで中長期の希望をヒアリング
日本での永住や家族帯同などライフプランも含めて相談
他部署への異動・ジョブローテーションも視野に入れる
こうした対話を通して、会社が自分の将来に関心を持ってくれていると感じてもらえると、定着意欲は格段に高まります。
「ここにいたら成長できそう」「長く働けそう」と思える設計こそが、真の採用成功です。
5. まとめ
ここまで見てきたように、外国人エンジニアの採用を成功させるには、採用前の準備と採用後のサポート体制がすべてのカギになります。 スキルの高い人材を採用しても、受け入れ環境が整っていなければ、短期間での離職につながってしまうのが現実です。
① 採用前の「目的明確化」と「体制整備」
まず企業として重要なのは、「なぜ外国人エンジニアを採用したいのか?」という目的を明確にすることです。
自社に不足している技術力を補いたいのか
グローバル展開を見据えての体制強化なのか
人材不足への中長期的な対策としての採用なのか
目的がはっきりすれば、求めるスキル・人物像・採用方法の選定もブレずに進められます。
また、採用後に混乱しないよう、ビザ対応、言語面、職場環境などの受け入れ準備も事前に整えておくことが大切です。
② 採用後の「安心できる環境づくり」
採用したあとのサポート体制こそが、長期定着の分かれ道になります。
多言語での社内マニュアル整備
初期のメンター制度と定期的な1on1面談
生活面やカルチャーギャップへの配慮
たとえば、社内チャットで「わからないことがあったらすぐ聞いてね」と一言添えるだけでも、心理的な安心感が大きく変わります。
採用はゴールではなくスタート。準備とサポートが、成果につながる大きな要素です。
外国人労働者の受け入れならWorking Japan株式会社にお任せください。
複雑な在留資格手続きから、職場・地域への定着支援まで一貫サポート。
外国人材の受け入れを検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。
コメント